今年になってこのブログは食べ歩きの記事ばかりになっており、これでは駄目だ、初心に戻っていろいろな話題を取り上げていこうと反省した。
森永卓朗(さん)の最近の著作がベストセラーになっているらしい。森永卓朗はTV番組「がっちりマンデー」にレギュラーで出演しており良く見ている。そして目下ガンと闘っているということだが、膵臓ガンではなく「原発不明がん」と判明したそうで”オプジーボ”を投与中とのこと。抗がん剤治療の経験者の私としては、何とか頑張ってガンを克服して欲しいと心から応援している。
しかし、森永卓朗の「書いてはいけない――日本経済墜落の真相」は買ってはいけない本だと思う。
何故なら、第3章に「日航123便はなぜ墜落したのか」と書かれていたからだ。手にとって読んではいないが、私はこの宣伝の目次を見て驚いた。
確かに、日航123便は「自衛隊による実験用ミサイルの誤射による墜落である」という説がネットの一部で囁かれていたことがあった。
実は、私は「新型コロナワクチンの危険性」というネット情報に関心があったので、その関連で昨年このことに強い興味を抱いた。
つまり、ネットでまことしやかに伝えられていてマスメディアに取り上げられないことが多々あるがその真偽はどうなんだろうという問題意識だ。
「日航123便の墜落の新事実」の話に初めて触れた時衝撃を覚え、私はひょっとして隠蔽された真実かもしれないという印象を持った。そこで真相を見極めるべく、かなり時間をかけてネットでいろいろ検索して調べてみた。
そして「日航123便墜落の新事実―目撃証言から真相に迫る」という本が出版されていることを知った。著者は青山 透子というJALの国際線客室乗務員で東大での博士号を修得している。そして出版社は河出書房新社。2017年に出版されている。これだけを見るとインチキ本ではなさそうだ。
そこでAmazonで買って全部読んでみた。確かによく調べており、論理構成もしっかりしている。少なくともフェーク目的や単なる営利目的には思えなかった。
内容は下の生成AIの説明を見て頂くこととして、私には仮にこれが真実だとすると時間の経過とともに「ネット上で多数の人がこれを取り上げるはずだ」という仮説を抱き、私の検索能力を駆使して調べた結果、私の分析では「偽」という結論になった。その根拠は省略するが、私の推測する背景は以下のとおりだ。
青山 透子さんという人はJALの乗務員であったことから乗客・乗員の不運の死に直面し抱いた疑問から真実を解明したいという使命感で、自分の頭脳明晰さを駆使して調査し著作に至ったのだと思う。そして、それを反体制・反自衛隊の思想を持つ勢力が利用しようとしたが、効を奏せずに今に至っているのではないかと思っている。
本件に関して生成AIの一つである《 Gemini 》に以下の質問をしてみたところ回答が返ってきた。
「日航123便の墜落は自衛隊の実験用ミサイルの誤射による墜落であるという説があるがこれは真実の可能性はありますか?」
【日航123便墜落事故における自衛隊ミサイル誤射説について】
日航123便の墜落事故について、「自衛隊の実験用ミサイルの誤射による墜落である」という説が存在します。しかし、この説には多くの矛盾点があり、真実である可能性は極めて低いと考えられています。
【誤射説の根拠と矛盾点】
誤射説の根拠は主に以下の3点です。
* 事故現場周辺で自衛隊がミサイル訓練を実施していた。* 目撃者がミサイルのような物体を見たという証言がある。* フライトレコーダーに記録されたデータが不可解である
しかし、これらの根拠に対しては以下のような反論があります。
* 自衛隊のミサイルは訓練空域内を飛行しており、日航123便の飛行経路とは交差していない。* 目撃者の証言は信頼性に欠けるものが多い。* フライトレコーダーのデータは、機体の故障による墜落を裏付けている。
【事故原因に関する調査結果】
日航123便の墜落事故については、運輸省(現在の国土交通省)による事故調査委員会 (AAIC) が調査を行い、詳細な報告書が公表されています。
報告書では、事故原因は垂直尾翼の接合部にある圧力隔壁の破損と結論付けられています。圧力隔壁の破損によって、垂直尾翼が徐々に破壊され、操縦不能になったとされています。
【結論】
以上の点を踏まえると、日航123便の墜落事故が自衛隊ミサイルの誤射によるものであるという説は、根拠が薄弱であり、真実である可能性は極めて低いと考えられます。
この生成AIの回答は必ずしも優れているとも説得力があるともは思わないが、いちおう結論に大きな間違いはないと受け止めた。(因みChatGPT3.5の回答よりははるかに良い)
ただ、このことを以て森永卓朗の著書に書かれていることが全て「偽」とは言えないので、それぞれの主張をあくまでも一つの仮説として批判的に読むことが大切だろう。
また、今さら言う事ではないがネットにある情報は安易に信じてはいけないし、書籍や文献であっても正しいとは限らない。この事は、大学で論文作成に臨む時の基本として教わった。かと言ってネットはいい加減なものとして頭から全否定するのも間違いだ。ネットやSNSで「素晴らしいこと」や「駄目なこと」そして「隠された真実」が広く世間に流布されること自体は大変望ましいことだ。具体例を一つ挙げるなら最近だと、自民党の世耕氏に対する処分の背景・いきさつなどがある。
最後に一言。「日航123便の墜落の新事実」という本はフィクションと思って読めばなかなか良く出来た面白い本だ。 https://www.amazon.co.jp/
【追記 2024.04.18】
杉江 弘元氏(JAL機長で航空評論家)がXの中で次のように語っている。
# 123便 謀略本の青山透子
山下徳夫と会ってこの人は立派で信頼できると評価した事を著書などで絶賛してる物書きの青山透子。墜落現場で乗客を証拠隠滅で自衛隊員が焼き尽くしたと書いた人物だ。航空にど素人の森永卓郎がそれを絶賛してベストセラーになった本だが信奉者も多い 皆人を見る目がないのだ。