【オールドメディアが失う信頼とその背景】
近年、大手新聞社やテレビ局といった「オールドメディア」が、国民の一部――特に若い世代――から信頼を失いつつあることは、選挙結果や世論の動向からも明らかである。
インターネットの普及により情報入手経路が多様化し、既存メディア離れが進んでいることは疑いない。しかし、それだけでなく、報道の質や公正さが「信頼に足る水準」から乖離し始めているという感覚を持つ人は、筆者だけではないだろう。
【信頼喪失の根本要因】
私の考えでは、その本質的な原因は主に二つである。
1. 片方向型の情報発信と欠如した即時的セルフチェック機能
オールドメディアは一方的に情報を流す構造を持ち、発信後に迅速に誤りを修正したり、読者との対話を通じて検証したりする仕組みが弱い。結果として、誤報や偏向報道がそのまま世論に影響を与えてしまう。
2. 大組織ゆえの硬直性と環境変化への鈍感さ
大企業病とも言える慣性が働き、新しい情報環境や国際的な視点を柔軟に取り入れることができない。世界ではジャーナリズムの形態が変容しているにもかかわらず、日本のオールドメディアは旧来の報道様式に固執しがちだ。
【選挙で見える「反発票」】
この傾向は、最近の選挙にも表れている。二つの事例を挙げたい。
1. 兵庫県知事出直し選挙
メディアの多くは斎藤知事の敗北を予想していたが、結果は逆であった。斎藤氏は人脈や発信力に乏しく、強いカリスマ性を持つ政治家とは言い難い。それにもかかわらず勝利した背景には、「斎藤知事を一方的に悪と決めつけた報道」に対する有権者の反発があったと私は考える。つまり、支持というよりも“反メディア票”が集まった可能性が高い。
2. 今回の参院選における参政党の扱い
参政党は、特にテレビ報道で批判的に取り上げられることが多く、TBS『報道特集』の論調がその典型である。一部には「ネットを通じた扇動」という指摘もあるが、同時に、オールドメディアの報道姿勢そのものを否定し、反発の意思表示として参政党に票を投じた層も存在すると見られる。ただし、こうした支持は一時的な現象に終わる可能性もある。
【今後の見通し】
オールドメディアが自らの構造的問題を根本から改革しない限り、信頼回復は難しいだろう。特に、団塊の世代というコア視聴者層が減少する時期には、衰退はさらに加速する。代わって台頭するのは、双方向性と透明性を備えた新しい情報発信勢力である可能性が高い。
メディアの変革期は、同時に国民の情報リテラシーが問われる時期でもある。情報を受け取る側も「選び、比べ、考える」姿勢を持たなければ、旧来型メディアから新興メディアへと単に依存先を変えるだけに終わってしまう危険がある。